横浜 あざみ野の税理士事務所

コロナ禍の役員報酬 臨時改定事由・業績悪化改定事由との関係について

コロナ禍と臨時改定事由・業績悪化改定事由との関係については、国税庁が例を挙げて見解を示していますので、それぞれ見ていきます。

コロナ禍と臨時改定事由との関係について

臨時改定事由については、コロナ禍との関係を国税庁が直接見解を述べているわけではありませんが、国税庁が公表している「役員給与に関するQ&A(平成244月改訂)」の1718Pにて、病気のため職務が執行できない場合の取扱いを下記のように述べています。

 

「役員が病気で入院したことにより当初予定されていた職務の執行が一部できないこととなった場合に、役員給与の額を減額することは臨時改定事由による改定と認められます。また、従前と同様の職務の執行が可能となった場合に、入院前の給与と同額の給与を支給することとする改定も臨時改定事由による改定と認められます(国税庁回答)」

※参考 「役員給与に関するQ&A(平成244月改訂)」qa.pdf (nta.go.jp)

 

もし役員が新型コロナウイルスに感染し、かつ、隔離や治療のために業務を行うことが難しくなった場合には、その役員報酬の改定は臨時改定事由に該当し、全額を定期同額給与として損金に計上することができると考えられます。

コロナ禍と業績悪化改定事由との関係について

業績悪化改定事由については、国税庁が公表している「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」にてコロナ禍との関係を述べています。

 

※参考「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取り扱いに関するFAQ」 国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ (nta.go.jp)

 

1.業績が悪化した場合の減額改定

ここでは、イベント開催会社が新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、イベント等の開催中止の要請から中止を行ったため、業績が悪化したケースについて述べられています。

これによれば、上記のような事情で、「業績等が急激に悪化して家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行や株主との関係からもやむを得ず役員給与を減額しなければならない状況にある場合」には、その役員報酬の改定は業務悪化事由に該当し、全額を定期同額給与として損金に計上することができるとのことです。

 

2.業績悪化が見込まれる場合の減額改定

ここでは、観光客関係の会社を例として、新型コロナウイルスの影響により外部環境が著しく悪化している場合においては、実際に業績悪化にまで至っていなくとも、「役員給与の減額等といった経営改善策を講じなければ、客観的な状況から判断して、急激に財務状況が悪化する可能性が高く、今後の経営状況が著しく悪化することが不可避」と考えられるときには、その役員報酬の改定は業績悪化改定事由に該当し、全額を定期同額給与として損金に計上してもよいと述べています。

まとめ

コロナ禍での役員報酬の改定についてまとめると次のようになります。

1.新たな事業年度開始から3月以内の場合

→通常の定時株主総会等における改定を行うことで、定期同額給与に該当

2.新たな事業年度開始から3月を経過している場合

(1)役員が新型コロナウイルスに感染するなど業務を行うことができなくなった場合

   →その改定は臨時改定事由に該当し、定期同額給与と認められる可能性大。

(2)新形コロナウイルスの影響により業績悪化した場合・業績悪化が見込まれる場合

   その改定は業績悪化事由に該当し、定期同額給与と認められる可能性大。

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